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れより前方は心距をそのままとすれば安全サイドになるし、それより後方は水圧の低下と勾配の減少との兼合いである。
板厚を計算しようとする外板については、その外板の位置における縦肋骨間それぞれの平均勾配βを測り、P1を計算するが、それにはβに相当する勾配修正係数Kを使用する。

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中間速力に対しては挿間法による。
まずV/W1/6≦10に対するK1,V/W1/6≧25に対するK2を求め

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滑走状態で転舵すると艇は船尾船底勾配相当の内方傾斜をする。この状態で波に出会えば、きわめて強い衝撃水圧を受ける。速力によってKを変えるのは、このような状態に相当するものである。
使用実績の解析に当たっては、波浪中では高速で急旋回ないし、大角度の変針を行わない艇ではV/W1/6≦10の修正係数を使用する方が実際的であろう。
(e)板厚の算式
縦肋骨構造の船底外板は、凹損を発生しても船体の全体強度にほとんど影響を与えない。また、凹損による抵抗増加も余り大きくない。そこで塑性設計をしてリミットデザインとすることができる。現実に使用中に凹損を発生して、そのまま長期間使用された例もある。
設計は縦肋骨で固定された帯板が、等分布荷重を受けるものとして、第1塑性関節に対し安全率を1.2とするのが通常である。
ここで比較的低い安全率をとっているのは、外板に塑性関節が生じた後も、膜力が作用してさらに高い荷重に耐えられ、防饒材が健全である限り構造の崩壊には至らないからである。
(f)船底外板の板厚
山形材等の縦肋骨を使用し、外板にリベット接合したときのパネル幅は肋骨心距をとる。これは水圧が高くなると形材の倒れを生じ、フランジ端は外板を支持しなくなることによる。
板厚の計算は次式による。

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